ノスタルジーでもなく、思い出でもなく、それはすごい物
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自分の孫を見ていると、子供のころのメモリーがその子の将来に大きな影響を与えるかもしれない、だから本やDVDなどを与えるときも慎重に選ばなければならない、と思う。 そして、自分にとって原点となっていたものは何だろうと漠然と思っていたとき、たまたま本屋で「ジュール・ベルヌの世紀」を手に入れた。 |
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1828年から1905年までのジュール・ベルヌの人生のなかで、彼の思い描いた空想の世界の広さに、愕然としながら読みました。
19世紀が新しい発見の時代であり、理論的な洗練と広い視野を獲得していた時期であることを痛感するとともに、我々が生きている現代はなんと狭窄な世界しかないのだろうと。
ジュール・ベルヌが今生きていたら、今の科学を前提にどんな世界を表現するだろうと思うと、現在の私たちの発想力のなさに歯がゆさを覚えます。 |
そんな気分を打ち消したいと思っていたとき、子供のころに観たジュール・ベルヌ原作の映画「海底２万マイル」が浮かび上がりました。今もこの1954年製作の映画は手に入るのです。 さっそく手に入れ、50年以上前の映画を観て素晴らしさに感動の一言です。撮影した映像に後処理で手を加えることがほとんどできないころのウオルト・ディズニーが、よく作らせたと思います。 ジュール・ベルヌが1867年ごろ書いたSF小説を、ここまで表現したリチャード・フライシャー監督の映画製作クオリティーが素晴らしい。ジュール・ベルヌのスケッチの潜水艦ノーチラスは葉巻型でしかありませんが、ディズニー映画のノーチラスは今見てもカッコいい。 そして1954年に、アメリカ海軍の最初の原子力潜水艦はノーチラスと命名されています。ジュール・ベルヌに敬意を表したのか、無敵を誇示したいのかわかりませんが、この映画の発表時期と符合しています。 時々、思い出して見ると新たな発見のある「ジュール・ベルヌの世紀」は、今の時代にこそアイデアの宝庫であり必読の書で、「海底2万マイル」はその一部を映像で見ることができるといえます。 |
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