手放したくない本
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本屋を25年以上やっていて、本を販売して糧を得ている立場でありながら、手放した
くない本がいくつかあります。二度と手に入らないというほどでもなく、アマゾンや ヤフオクにあるものレベルのものであっても、これは別と決め付けたりしています。 クルマやバイクの本・DVDの中で、将来的にどこかの出版社にプレゼンして少数限定 で再生したいと思うものはかなりあります。 現在の出版不況がよい本を生み出せない 原因だと決め付けたくありませんが、過去に出版されたものに目を見張るものがあ り、それを知らなかったことを悔やむほどのものがあります。この本は、時折、開い て見れば見るほど違った受け取り方をしている自分に気付きます。ここに紹介したい 本はクルマやバイクに関係ありません。 ドイツのロスヴィータ・ヘッケの”Lieb es Leben Bilder mit Irene”という写真集です。 まず、基本的に 私は、写真集はストーリー仕立てになっているものが好きで、エルスケンの「セーヌ 左岸の恋」が有名ですが、エルスケンのこのフォトストーリーはドキュメント的であ りながらフィクションを感じるショットがあります。 ヘッケのこの写真集は、ヘッケ
が街で知り合った娼婦イレーネの生活を、いくつかの街で撮り下ろしています。いか
がわしく、危なげな、エロティシズムをどのショットもかもし出していますが、不思
議に不潔感がありません。ドイツには今でもいくつか有名な娼館がありますが、イ
レーネはストリートガールですから客引きが生活の重要な部分です。この写真集はイ
レーネの客引きシーンが大半を占めます。なぜか、子犬を連れて歩くイレーネから始
まって、ちょっとした街の片隅で着替えるイレーネ、いろんな男と街角で商談シー
ン、金持ちに誘われてレストランにいるイレーネ、疲れ果てて自宅のバスに浸かって
いるイレーネ、すっぴんで髪を解くイレーネ、教会にいるイレーネ・・・・そして街
で客を待つイレーネ。自分という商品を気ままに売っている。自由に生きているとい
う言葉がこれほど似合う女はそういない。相手によって女王様からはすっぱなあばず
れまで。各々のショットはすべて動きを捉えている。じっと見ていると臨場感ある音
が聞こえてくる。映っている男たちの目は好奇心にあふれている。この写真集は見るたびに違うストーリーが浮かび上がる。この写真集をベースにした映画をルキノ・ ヴィスコンティあたりが創ってくれていたらと悔やむ。いずれにしても見ていると勝 手に妄想をかき立ててくれる本は少ない。このイレーネは本当は、若い大柄な田舎娘 なのだと思う。 最後に申し述べなくてはならないのは、イレーネの裸のショットは あっても男との絡みのシーンがないことです。この本はノンフィクションです。そし てこの本の写真をとった人が女性だということがうなずけるクオリティをもち、男の もつ女を見る目ではないからクリーンに感じるのでしょう。 ドイツ語、142ページ、243*175 1987年刊行 ![]()
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本屋を25年以上やっていて、本を販売して糧を得ている立場でありながら、手放した
くない本がいくつかあります。
ヘッケのこの写真集は、ヘッケ
が街で知り合った娼婦イレーネの生活を、いくつかの街で撮り下ろしています。いか
がわしく、危なげな、エロティシズムをどのショットもかもし出していますが、不思
議に不潔感がありません。ドイツには今でもいくつか有名な娼館がありますが、イ
レーネはストリートガールですから客引きが生活の重要な部分です。この写真集はイ
レーネの客引きシーンが大半を占めます。なぜか、子犬を連れて歩くイレーネから始
まって、ちょっとした街の片隅で着替えるイレーネ、いろんな男と街角で商談シー
ン、金持ちに誘われてレストランにいるイレーネ、疲れ果てて自宅のバスに浸かって
いるイレーネ、すっぴんで髪を解くイレーネ、教会にいるイレーネ・・・・そして街
で客を待つイレーネ。自分という商品を気ままに売っている。自由に生きているとい
う言葉がこれほど似合う女はそういない。相手によって女王様からはすっぱなあばず
れまで。各々のショットはすべて動きを捉えている。じっと見ていると臨場感ある音
が聞こえてくる。映っている男たちの目は好奇心にあふれている。