10年程前にビデオでこの映像を見たときは、
こんな人がいるのかと驚きとともに感銘を受けました。

オリジナルのバイクを造る。
通常の感覚では既存のモデルに手をいれて、カスタムしたものを考えますが、
ブリッテンの場合、タイヤとギアボックスとサスユニット以外、
エンジンから外装まですべてがオリジナル。文字通り手造りの一台。
しかもその設計、開発、製造をブリッテン本人と数人のスタッフのみで成し遂げ、
しかもそのマシンで数々のレースに勝利、
デイトナのBOTTで2位となり世界中を驚かせました。

彼の偉業は長く語り次がれるべきものですが、
資料に乏しく、唯一の貴重な映像がそのビデオでした。
そして長らく絶版となっていたその映像が、ようやくDVDで復活しました。




天才とは彼のためにあるような言葉ですが、
彼は子供のころから読字障害があり、読み書きが困難でした。
興味深いことに、最新の研究によって読字障害の人は一般の人と、
脳での情報処理の仕方が異なることが明らかになってきています。
そして多くの天才たちがそうであったように彼もまた短命でした。
いろいろなものと引き換えでなければ、
成し遂げられなかったことなのかもしれません。

ちなみにブリッテンV1000が日本の地を走ったのは、
1998年バトル・オブ・ツインの第16戦筑波サーキットの一度のみ(4位)。
ジョン・ブリッテンの死から三年後のことです。

A. S.