Clarkson 宇多田ヒカルがアメリカでファンに囲まれて、「日本と全然違う。肉食って感じ」と言ったそうだが、ワタクシもこのDVDを見て、ああコーカソイドは肉食なんだなぁ、とつくづく思いまひた。
 モノは、ルーマニアを舞台に行われた鬼のようにキツいエンデューロラリーなんだけど、つまりこれは、鬼のように長いバイク版サスケということか。サスケもコレも、「ぜってームリだろ!」と思うところをクリアしていく感覚はかなり近い。ただ、サスケは緑山スタジオの中でやるが、こっちはそれをカルパチア山脈でやるという。




 サスケの場合、多くの挑戦者は修行僧のように粛々とトライしていくでしょう。でもこのラリーに出る人たちは、みなさん楽しげに、ピクニックのキツいヤツみたいな感じで突っ込んで行くんだよね……。日本人が、風に吹かれる柳のように困難に立ち向かうとしたら、白人たちは、困難を力づくで粉砕してやろうという感じで、真正面から突撃していく。
 とにかくさ、何人か死んでもおかしくないようなコースなんよ。首の骨折るよそれは! っていうような場所だらけ。でも、彼らの価値観として、困難にトライして首の骨折るのはいいことなんだろうね。日本だったら「なぜそんな危険なことをするのか」「責任は誰が取るのか」とかいう声が上がりまくって番組は即中止、みたいな競技に、あっちは参加者も観客も全員大喜び。根本的な価値観の違いがあるなこりゃ。
 ゴールは建設中だか廃墟だかの中層アパートの屋根の上! 落ちたら確実に死ぬけどゴール地点は屋根の上なの。でもゴールにはピチピチのキレイな女の子たちがいっぱい待ってて、みんな大喜びで参加者を迎えててさ……。困難に打ち勝った者には、最高のご褒美が待ってるんね。それが狩猟民族の生き方なんね!
 太平洋戦争中、日本の大本営は、米英兵なんざ腰抜けで、大和魂の敵ではないみたいに宣伝したけど、ミッドウェーで日本の4空母を撃沈した急降下爆撃機のパイロットたちは、それこそこのラリーの参加者みたいに、不利な状況下でも超勇敢だったという。やっぱ白人をナメちゃいかんですね。
 我々は、白人とは違う方法論で、風に吹かれる柳のように生きよう。そうじゃないと肉食人種には太刀打ちできん。そんなことを思わせてくれる作品でした。

「Red Bull ROMANIACS 2008:Hard Enduro Rally The 5th Edition」
DVD/英語/本編84分/NTSC/税込価格 4,830円 (本体価格 4,600円)