Custom Auto Wiring & Electrical これまで7年間、愛車のXJ900に数々のチューニングを施してきた私にとって、これは待望の本である。エンジン内部、キャブレター、前後サスペンション、ブレーキ、点火系電装などをさんざんいじってきて、最後に残っているのが電気回りだからだ。
 それも、手をつけないSTD状態ではなく、点火系チューニングに必要な配線を追加していたり、ヘッドライトリレーのためのバイパス線が這い回っているなど、錯綜としており、とても人に見せられる状態ではない。
 クルマ/バイクいじりの趣味人の中には、私と同じく、メチャクチャな電装系のまま乗り続けている人も多いはず。改造は好きだし、修理も、必要に迫られて渋々するが、トラブルを未然に防ぐための整備や整理には、メンドクサくてなかなか手が出せないようだ。

 電装系のチューニング。それも、ワイヤーハーネスを全自作などになると、個々のパートだけでなく、電装系の全パーツの働きはもちろん、そこに至る配線がどのように取り回されているかがわかっていなければならない。頭の中に配線図が入っているくらいでちょうどいい。
 …と、ちょっと脅してしまったかもしれないが、この本を読めば、まったくのシロートであっても、難しい(または面倒な)電気の基礎をすっ飛ばして、いきなり知りたいことがわかる。クルマの運転には、操作方法と道路交通法がわかっていればよく、炭化水素の燃焼に関する理論が不要なのと同じだ。
 端子の取りつけ方、配線のからげ方、ハンダづけのし方、配線の固定方法、配線図の読み方などの基本にはじまり、レストアと修理、そして、点火系やアクセサリー類のチューニングや追加などについて、実例写真をふんだんに用いて解説している。
 最後に、トレーラー(被牽引車両)への配線に関するページを設けているあたりが、いかにもアメリカ的といえようか。
 これ1冊で、どんなクルマのどんな電装作業もできるかというと、そんな虫のいい話はないわけで、自分なりのアレンジはもちろん必要である。しかし、いじろうとするクルマのサービスマニュアルに加えて本書があれば、鬼に金棒である。
 ワイヤーハーネスの修理、改造、追加という難作業の敷居を、う〜んと低くしたうえで、完成までの道のりを、手とり足とり導いてくれる、これぞ初心者向けのスタンダードマニュアルと呼びたい本である。

Custom Auto Wiring & Electrical
ソフトカバー/W220×H275/モノクロ/英語/186p
税込価格 4,410円 ポイント:176pt (4%)